空間の構成
" 健やかなるところに、美は宿る "
美しさや思想だけで、住まいは成立しません。
空間の質は、見えない部分の積み重ねによって決まります。
私たちは、表層を整えるだけの改修は行わず、一度すべてを解体し、躯体だけを残したスケルトンの状態に戻します。
そのうえで、思想を現実のかたちへと落とし込み、再構築をおこないます。
快適さは偶然ではなく、設計によって生まれるもの。
理論と技術、そして確かな性能に基づき、住まいを一から丁寧に組み立てていきます。
以下は、その基盤となる三つの考え方です。
Point 1|構造と設備
住宅にとって最も重要なのは、構造となる躯体の健全性と、見えない設備です。
スケルトンへの解体後、躯体の劣化状況や断熱の状態、漏水の痕跡まで確認したうえで、これから先の暮らしに耐えうるかを見極めます。
床下を走る給排水管やガス配管。
天井や壁の中の電気配線、排気ダクト。
これらは完成後には触れられない、住まいの基盤です。
築30年以上のマンションでは、こうした設備は更新を検討する時期に入ります。
そのため私たちは、電気配線・給排水設備の新設を基本としています。
見えない部分を整えること。
それは贅沢ではなく、前提です。
安心して長く暮らせる住まいへの、最低条件であり、私たちの基準です。
Point 2|断熱と内窓
日本の住宅は断熱性能が十分とは言えず、特に中古物件の多くが性能不足といわれています。
マンションは外周コンクリートの室内側に、断熱材を設ける内断熱構造が一般的ですが、性能が不十分だと、冬は寒く、夏は暑い室内環境になり、光熱費の増加や結露・カビの原因にもなります。
私たちはリノベーションの際、高性能断熱材の採用と適切な施工により、住まい全体の温熱環境を底上げします。
また、窓は住宅の中でもっとも熱の出入りが大きい部分。
既存の窓の内側に樹脂製・複層ガラスの内窓を設置し、二重構造による空気層で熱の移動を抑えます。
断熱性と冷暖房効率を高め、光熱費削減・結露軽減・防音性向上へとつなげます。
季節を問わず穏やかな室温が保たれ、部屋ごとの温度差も少なくなる。
住む人にも、環境にもやさしい住まいを目指します。
Point 3|光と空気
住まいの心地よさは、空間のつくり方で大きく変わります。
できる限り壁を取り払い、光と空気が通り抜ける構成にする。
間仕切りが少なければ、自然の光は部屋の奥まで届き、風もゆるやかに流れます。
照明や空調だけに頼らない、自然を感じられる暮らしが生まれます。
さらに、断熱性能を整えたうえで、ひとつながりの空間をつくることで、住まい全体の温度はより均一になります。
光が届き、空気が流れ、温度がゆるやかに整う空間。
それらが重なり、住まいの心地よさをつくります。
最後に
美しさと性能、そのどちらも妥協しない。
思想と感性、そして技術を重ね合わせ、
永く寄り添える住まいを丁寧につくり直します。